遺族年金の制度がこれから変わります。
特に今回は、夫の死亡時に40歳以上で子どもがいない配偶者が対象となる遺族厚生年金の支給期間見直しが中心となります。
何がどう変わるのか、自分に影響があるのか、不安や疑問を感じ気になっている子なし主婦の方も多いのではないでしょうか。
実は2025年に予定されている「遺族年金の支給期間や加算制度の見直し」は、子なし主婦の方にとっては、これまで当然とされてきた支えが見直される重要な転換点になります。
今回の法改正では中高齢寡婦加算の段階的な廃止や支給対象の再整理など、老後の暮らしに直結する変更が含まれているため、早めに内容を理解しておくことが大切です。

子なし主婦としての私としても、とても気になることなので、制度の基本から2025年改正のポイント、そしてこれからできる備えまでを調べてみました。
複雑な制度内容を自分ごととして考え、整理しながらまとめてわかりやすく解説します。
将来に備える第一歩として、ぜひ最後まで目を通してみてください。
※なお2025年5月30日に、年金制度改革法案は衆議院本会議で可決され、現在参議院で審議中です。
- 遺族年金は2025年の改正で子なし主婦にどんな影響があるのか
- 子なし主婦が遺族年金制度の改正に備えてできること
遺族年金は2025年の改正で子なし主婦にどんな影響があるのか
- 子なし主婦は遺族年金を受け取れるのか制度の基本を確認
- 2025年の遺族年金改正で子なし主婦に起きる主な変更点
- 遺族年金は子なし主婦に5年間しか支給されないのか
- 中高齢寡婦加算の廃止で子なし主婦が受けられない支援とは
- 死亡時分割制度は子なし主婦の老後に役立つのか
- 子なし主婦は不利なのか遺族年金制度の不公平感を考える
子なし主婦は遺族年金を受け取れるのか制度の基本を確認
夫を亡くした後、自分に年金が支給されるのか不安に感じる方も多いと思います。
まずは「遺族年金の制度の仕組み」や、「子なし主婦がどの年金を受け取れるのか」について、調べてみました。
遺族年金の種類
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。
どちらを受け取れるかは、夫がどの年金制度に加入していたかによって異なります。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、18歳未満の子がいる遺族が対象となる制度です。そのため、子どもがいない場合は基本的に支給対象外となります。
遺族厚生年金
夫が厚生年金に加入していた場合、妻は子どもがいなくても遺族厚生年金の受給対象になります。支給額は夫の報酬や加入年数などによって計算されます。
なお、今年の初めには、遺族厚生年金を増やすための「有期給付加算」の創設が検討されていましたが、最終的にこの加算は導入されない見込みです。
遺族厚生年金の受給の条件
遺族厚生年金を受け取るには、いくつかの要件を満たす必要があります。主な条件としては以下のようなものがあります。
- 夫が厚生年金加入中または受給資格を持っていたこと
- 法律上の婚姻関係があること(内縁は不可)
- 妻が再婚していないこと
老齢年金との調整
将来、自分自身の老齢年金を受け取る場合は、遺族厚生年金との併給調整が発生します。
原則として、どちらか高い方を優先して支給されるか、一部が支給停止される場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
2025年の遺族年金改正で子なし主婦に起きる主な変更点
今回の改正で注目すべきポイントを、改正前と改正後で比較できるよう表にまとめてみました。
改正ポイント | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
遺族厚生年金の支給期間 | 終身 | 最長5年(60歳未満で子のいない配偶者が対象。60歳以上は従来通り終身) |
中高齢寡婦加算 | 40歳以上65歳未満に加算あり | 段階的に廃止(経過措置あり) |
遺族基礎年金の対象 | 18歳未満の子がいる配偶者 | 変更なし(子のいない配偶者は対象外のまま) |
制度の設計方針 | 世帯単位での支援を重視 | 個人単位での支援へとシフト |
支援の前提 | 配偶者の死亡後も長期支給が前提 | 短期支給+自立支援が前提に |
女性の就業状況との関係 | 就業率は制度にあまり反映されていなかった | 就業率上昇を反映し、支援縮小へ |
遺族年金と老齢年金の併給 | 原則併給不可(どちらか選択) | 変更なし |
制度見直しの背景 | 専業主婦モデルを前提 | 共働きや非婚世帯の増加に対応 |
生活支援の空白期間 | 寡婦加算などで補完あり | 加算廃止により空白期間が生じる可能性 |
代替制度の有無 | 中高齢寡婦加算や遺族年金など複数あり | 一部制度廃止で代替制度が不明確 |
この表を見るとわかるように、今回の遺族年金制度の見直しによって、これまでとは大きく異なってくることになります。
特に配偶者が亡くなったあと、長年その年金を頼りに生活していくと考えていた方にとって、大きな影響があり、これまで受けられていた支援が得られなくなる可能性があります。
そのため、老後の備えについて早めに見直しておくことが大切です。
支給期間の上限設定
改正後は、これまで終身で受け取れていた遺族厚生年金が、条件によって「最長5年」までの支給となる見込みです。
これは主に、夫の死亡時に40歳以上で子どもがいない妻が対象です。
中高齢寡婦加算の廃止
中高齢寡婦加算とは、夫を亡くした40歳以上65歳未満の女性に対して支給される年金の加算制度です。
特に、遺族基礎年金を受け取れない女性が老齢年金を受け取るまでの生活を支えるために設けられていました。
この中高齢寡婦加算が2025年の改正で廃止される見込みとなっています。
もちろん一気に廃止されるわけではなく、時間をかけて段階的に廃止する予定にはなっていますが、子なし主婦を含む多くの女性にとって経済的な影響が避けられません。
加算がなくなることで、老齢年金の受給開始前に収入の空白期間が生まれ、生活設計の見直しが必要になります。
なぜ変更されるのか
今回の見直しの背景には、社会全体の働き方の変化と年金制度の考え方の転換があります。
かつては「夫が働き、妻は家庭を支える」という家族モデルが一般的でしたが、現在では多くの女性がフルタイムや非正規で働くようになり、共働き世帯が主流となっています。
女性の就業率が高まったことにより、「配偶者に依存せず、自分の年金で生活できるはず」という考え方が年金制度にも影響を与えるようになりました。
また、制度全体が「世帯単位」から「個人単位」へと見直される流れが進んでいます。
これは、結婚や出産を選ばない生き方も広がる中で、扶養を前提とした年金設計が時代に合わなくなってきたという指摘によるものです。
そのため、遺族年金制度も「配偶者が亡くなったら長く支える」仕組みから、「自分の年金で生活を成り立たせる」ことを基本にした制度へと再構築されようとしています。
しかし、実際には非正規雇用や短時間勤務で働いてきた女性も多く、必ずしも十分な年金を自分一人で確保できるとは限らないという指摘もあります。

制度の方向性と現実の暮らしとの間に、ズレが生じているとの声もあります。
改正による影響を見据えた準備が必要
制度改正によって年金が突然打ち切られる可能性がある以上、それに備えた準備が求められます。
自分の収入を増やす手段や、老後資金の確保についても見直していくことが、これからの暮らしを守る鍵になります。
遺族年金は子なし主婦に5年間しか支給されないのか
2025年の遺族年金制度の改正により、遺族厚生年金の支給に新たな制限が設けられる予定です。
これまで一部の人にとっては終身で支給されていた年金が、条件によっては「最長5年まで」に変わるという大きな変更です。
ただし、改正の適用対象は60歳未満の子どもがいない配偶者に限定されており、施行日時点で60歳以上の配偶者には現行制度が適用されます。
これにより、60歳以上の方は引き続き終身で遺族厚生年金を受け取ることができます。
しかし60歳未満であれば、この改正が家計にどのような影響を与えるのか、不安を感じるのではないでしょうか。
ここでは、その内容と背景、今後の生活設計のヒントについて整理します。
対象となるのは40歳以上の子のいない配偶者
この制度変更で影響を受けるのは、夫の死亡時に40歳以上で、かつ18歳未満の子どもがいない配偶者です。
具体的には、これまで終身支給だった遺族厚生年金が、最長5年までの時限支給に変更される見込みです。

子育て中の遺族や、高齢の年金受給者などは対象外とされ、子のいない中年層の女性が新制度の主な対象になります。
収入が不安定な人ほど影響が大きい
この変更の大きな問題は、自分自身の老齢年金や収入が不十分な人にとって、生活資金が途絶えるリスクが高まるという点です。
支給が打ち切られる5年後に、他の収入源がなければ、その後の暮らしに大きな不安が残ります。
一方で、長年専業主婦や短時間労働で家計を支えてきた方の中には、自分名義の年金が少ないケースも多く、厳しい現実に直面することも考えられます。
なぜ「5年」に限定されるのか
制度を見直す背景には、女性の就業率の上昇や、年金制度を個人単位で捉え直す流れがあります。
働く女性が増えていることから、「配偶者に頼らず、自分の年金で生活するべき」という方向性が強まっているのです。
そのため、遺族年金制度も「配偶者が亡くなったら長く支える」仕組みから、「自分の年金で生活を成り立たせる」ことを基本にした制度へと再構築されようとしています。
しかし、実際には非正規雇用や短時間勤務で働いてきた女性も多く、必ずしも十分な年金を自分一人で確保できるとは限らないという指摘もあります。
今後は「受け取れる期間」を前提にした準備が必要
最長5年という支給期間の制限は、ライフプランに大きな見直しを迫るものです。
老後に向けては、「年金がずっと続く」前提を持たず、貯蓄や就労、保険の見直しなど、多方面から備えておくことが求められます。
年金制度の変更を正しく理解し、自分の生活にあてはめて考えることが、これからの安心に繋がります。
中高齢寡婦加算の廃止で子なし主婦が受けられない支援とは
これまで40歳から64歳の間、夫を亡くした女性を支えてきた「中高齢寡婦加算」も、2025年の制度見直しで廃止される方向となっています。
(先ほどもお伝えしたように、一気に廃止されるわけではなく、時間をかけて段階的に廃止する予定にはなっています。)
この制度は、遺族基礎年金を受け取れない層への補完的な支援でした。加算の廃止がどのような影響を及ぼすのか、あらためて確認してみます。
中高齢寡婦加算とは
中高齢寡婦加算は、40歳以上65歳未満の遺族厚生年金受給者に対し、老齢年金が受け取れるまでの間、年額約58万円(月額約4万8千円)の加算を行うというものです。
遺族基礎年金の対象外である人が多いため、この加算が実質的に生活資金を支えているケースも少なくありませんでした。
支援の空白期間が生まれる
制度が廃止されると、老齢年金が始まる65歳までの間に、収入の空白期間が発生する人が出てきます。
特に、健康上の理由や再就職が難しい人にとっては、大きな経済的打撃となりかねません。貯蓄を取り崩すだけでは足りず、生活保護などに頼らざるを得ない状況も考えられます。
代替制度は今のところ見当たらない
中高齢寡婦加算の代わりとなる制度や、新たな支援策は現時点では明確に示されていません。
そのため、今後は「制度に頼らずに生活設計をする」必要性がより高まることになります。
これまで頼りにしていた制度が消えるという現実に対し、自分自身で情報を集めて、少しでも早く備えておくことが重要です。
死亡時分割制度は子なし主婦の老後に役立つのか
遺族年金以外にも、老後の年金に関する制度として「死亡時分割制度」というものが存在します。
ただ、この制度は名称から遺族への保障のようにも思われがちですが、実際の仕組みや対象となる場面は限定的です。
この制度の基本と、子なし主婦にとってどのような意味があるのかを整理してみましょう。
死亡時分割制度のしくみ
死亡時分割制度は、厚生年金の「報酬比例部分」を、生存配偶者に分割できる仕組みです。
本来は離婚時の年金分割とセットで制度化されたもので、配偶者が亡くなった場合でも一定の条件を満たせば申請が可能です。
年金記録のうち、婚姻期間中に夫が積み立てた厚生年金の一部を、妻の老齢年金として自分の記録に加算できるのが特徴です。
制度を利用するには申請が必要
ただし、この制度は自動的に適用されるものではありません。配偶者が亡くなったあとに、生存配偶者が自ら年金事務所へ申請を行う必要があります。
たとえば、婚姻期間が10年程度で、夫の年収が平均的だった場合、分割によって加算される年金額は月額にして数千円から1万円程度にとどまることもあります。
また、分割の対象となる年金記録や期間には制限があり、必ずしも大きな金額が加算されるわけではありません。
実際の加算額は限定的
制度上は分割可能でも、専業主婦や短時間勤務で過ごしてきた方にとっては、加算される年金額はごくわずかとなるケースが多く見られます。
また、すでに自分の老齢年金が一定額ある場合は、分割による上乗せのメリットも限定的となる可能性があります。
老後の備えとしては心もとない
死亡時分割制度は、制度として知っておいて損はありませんが、老後の収入をこれに期待するのは現実的とは言えません。
制度の限界を理解したうえで、他の備えと組み合わせることが大切です。

情報として知っておき、いざというときの選択肢の一つとして活用できるように準備しておくと安心です。
子なし主婦は不利なのか遺族年金制度の不公平感を考える
遺族年金制度は、家族を失った人の生活を支えるために設けられた公的制度です。
しかし制度の内容を見ていくと、支援を受けられる条件が家庭のかたちによって大きく異なっていることに気づかされます。
中でも、子を持たない夫婦に対する扱いには、不公平感を抱く声が少なくありません。
遺族基礎年金は子どもがいないと支給されない
遺族基礎年金は、18歳未満の子どもを扶養している配偶者に限定して支給されます。そのため、配偶者を亡くしても子どもがいない場合は、この制度からは完全に除外されてしまいます。
制度の設計上「子育て家庭の支援」を目的としているとはいえ、実際の暮らしの困難さは子どもの有無だけでは測れないものがあります。
中高齢寡婦加算も廃止される
先ほどもお伝えしましたが、これまで子のいない配偶者に対する一定の支援として機能していた中高齢寡婦加算も、2025年の制度改正で段階的に廃止される予定です。
これにより、「子あり家庭には遺族基礎年金」「子なし家庭には寡婦加算」というバランスが崩れ、支援の偏りがより顕著になることが予想されます。
制度設計が時代に追いついていない
結婚しても子どもを持たないという選択をする夫婦が増えている中、年金制度はいまだに「子育て」を前提に構築されている部分が多く残っています。
その結果、家庭のあり方の多様性に制度が追いつかず、一部の人たちにとっては不平等に感じられる仕組みとなっています。
不公平感が心理的負担にもつながる
経済的な支援の有無だけでなく、「制度から取り残されているように感じる」という心理的な影響も無視できません。
自分は頑張って家計を支えてきたはずなのに、制度上の支援からは漏れてしまう。そんな感情が、老後の不安や孤立感を強めてしまうこともあります。
求められるのは多様な生き方に応じた制度
今後の制度設計においては、「誰がどんな形で暮らしていても安心できる」仕組みが必要です。
すべての人が不安なく老後を迎えられるように、制度の見直しは一部の層に偏らない、柔軟で公正なものであることが求められています。
子なし主婦が遺族年金制度の改正に備えてできること
- 子なし主婦が遺族年金制度の改正に備えてできること
- 子なし主婦が老後破綻を防ぐために今すぐ始めるべきこと
- 自分の年金見込み額を知るためのねんきんネットの使い方
- 子なし主婦が利用できる公的制度と民間保険の見直し
- 子なし主婦が老後資金を準備するためにできること
- 共働きの子なし主婦が見直すべき収入依存のリスク
- 子なし主婦が相談できる窓口やサポート機関
子なし主婦が遺族年金制度の改正に備えてできること
今後の遺族年金制度によって支給期間や加算の仕組みが変わり、これまでのように長期間にわたって受け取れない可能性が出大です。

なぜならすでに制度改正の方向性は決まっており、そのため自分自身で生活の土台を整えることがますます大切になってきています。(2025年6月時点)
今後の変化をただ受け止めるのではなく、自分の生活にどう影響するのかを意識しながら、できる準備を少しずつ進めていくことが安心につながります。
年金の受け取り見込みを早めに把握する
まずは、自分が将来いくら年金を受け取れるのかを把握しておくことが第一歩です。
公的年金だけで生活できるか、足りない分はどう補うかを考えるためにも、ねんきん定期便やねんきんネットを活用して確認しておきましょう。
生活費を見直し、支出を最適化する
収入が減ったときに最も影響が出るのが日々の生活費です。
固定費や保険料、通信費などを見直し、無駄を省くことで老後の家計にも余裕が生まれます。支出の見直しは将来だけでなく今の生活にもメリットがあります。
老後の収入源を複数持つ準備をする
働けるうちは少しでも収入を得られる手段を持っておくと安心です。
在宅でできる仕事や短時間のパートなど、年齢を重ねても続けられる働き方を見つけておくことで、将来の不安を減らすことができます。
夫婦で情報を共有し、話し合っておく
夫の年金や保険、資産など、いざというときに何をどう使えばいいのか、夫婦で共有しておくことも大切です。
突然のことが起きた際に慌てないよう、日頃から話し合いの機会を持っておきましょう。
子なし主婦が老後破綻を防ぐために今すぐ始めるべきこと
今回行われる予定の方改正で、配偶者を亡くしたあと、思ったよりも収入が少なくて生活が成り立たない…。そんな不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
年金制度の見直しが進むなかで、これまでと同じ支えが期待できなくなる可能性があります。将来に備えて、今からできる準備を進めておくことが大切です。
家計の現状を見える化する
まずは、現在の生活費や収入、貯蓄を具体的に把握しておきましょう。書き出してみることで、無理なく改善できるポイントや、将来の備えに回せる金額が見えてきます。
医療費や介護費用の備えをしておく
年齢とともに医療や介護の支出は増えがちです。高額療養費制度や介護保険の仕組みを理解しておき、必要に応じて医療保険や介護保険の見直しを行うことも考えておきましょう。
自分名義の貯蓄を優先して増やす
夫婦共有ではなく、自分の名義の貯蓄を意識して増やすことも重要です。
急な出費や長期的な支出にも対応しやすくなります。銀行の普通預金や定期預金といった安全な方法でコツコツ積み立てることを基本としましょう。
健康維持と体力づくりを日常に取り入れる
健康でいられることは、老後の生活にとって何よりの資産です。病気やけがで医療費がかかったり、働けなくなることは経済的リスクにもなります。
ウォーキングや軽い筋トレ、バランスの取れた食事など、無理なく続けられる習慣を身につけましょう。

私自身はこれが意外と大事なのではないかと感じています。
子なし主婦が利用できる公的制度と民間保険の見直し
今後は自分の老後を自分で支える時代です。公的な制度も、必要な備えも、早めに知っておくことで将来の安心につながります。
子なし主婦の立場で利用できる制度や、見直しておきたい保険について調べてみたので紹介します。
年金の未納期間がある場合は追納を検討する
年金の未納期間があると将来の受給額に大きな影響があります。10年以内であれば追納が可能なので、ねんきんネットなどで確認してみましょう。
高額療養費制度を活用する
医療費が高額になった場合、一定額を超えた分は払い戻される制度です。自己負担額には上限があるため、手続きを知っておくと安心です。
介護保険サービスを理解しておく
将来、介護が必要になったときに利用できる公的サービスがあります。地域包括支援センターで相談しておくと、使える制度が具体的にわかります。
地域包括センターは自分が住んでいる自治体に必ず一つは設置されており、身近な相談窓口として利用できます。
医療保険とがん保険を必要に応じて見直す
古い保険に加入している場合は、今の医療事情に合っているかを確認しましょう。通院や女性特有の病気に対応しているかもポイントです。
死亡保険は必要最小限でOK
扶養家族がいない場合、大きな死亡保障は不要なことが多いです。現在の保障内容と保険料のバランスを見直し、老後資金に回す選択も一つです。
個人年金保険や貯蓄型保険の活用も視野に
老後の安定収入を確保するために、貯蓄型保険や個人年金保険を利用する方法もあります。契約内容や返戻率をしっかり確認して選びましょう。
子なし主婦が老後資金を準備するためにできること
遺族年金制度が変わる中で、老後の生活資金をどう確保するかは誰もが不安に思うことですが、今できることを一歩ずつ重ねていくことで、未来の安心につながります。
生活スタイルに合わせた備え方について紹介します。
毎月の支出を見直して貯蓄を増やす
まずは日々の生活費を見直すことから始めましょう。固定費やサブスクの整理をするだけでも、貯蓄に回せるお金が見えてきます。
働けるうちは収入を少しでも確保する
定年後も可能な範囲で働き続けることが、年金の繰下げや貯蓄の継続に役立ちます。無理のない働き方を探しておくと安心です。
自分名義の口座で安全に貯蓄しておく
老後に備えて最初に考えたいのは、元本割れのない貯蓄方法です。
普通預金や定期預金は利息こそ低いですが、安全性が高く、すぐに使える安心感があります。
少額投資制度は仕組みを理解した上で選ぶ
つみたてNISAやiDeCoは、少額から積み立てができる制度ですが、元本が保証されていない点は注意が必要です。内容をしっかり理解した上で利用を検討しましょう。
ライフプランの全体像を把握する
老後の支出や収入の流れを把握することで、どのくらい備えが必要なのかが明確になります。
ねんきんネットのシミュレーションなどを活用して、全体像を見直してみましょう。
専門家や相談窓口を活用する
お金のことをひとりで抱え込まないことも大切です。ファイナンシャルプランナーや自治体の無料相談などを活用して、安心して備える計画を立てましょう。
共働きの子なし主婦が見直すべき収入依存のリスク
現在は共働きで生活に余裕があっても、どちらかの収入に強く依存している状態であれば、万が一のときに家計が大きく揺らぐことがあります。
将来に備えて、今のうちから家庭の収入バランスや備えを見直しておくことが大切です。
夫の収入に頼りすぎていないか確認する
共働きであっても、実質的に生活費の多くを夫の収入でまかなっているケースも少なくありません。その状態で突然収入がなくなると、生活基盤が一気に崩れてしまうおそれがあります。
自分の収入だけで生活できるかをシミュレーション
今の暮らしを、自分の収入だけで維持できるかを一度計算してみることが重要です。
家賃や固定費など、支出全体を見直して、足りない部分があれば対策を考えるきっかけになります。
夫婦で財産状況や備えを共有しておく
貯蓄や年金、保険などの情報をお互いに共有しておくことで、いざというときに慌てずに済みます。片方がすべてを把握している状態は、もう一方にとって大きなリスクになりかねません。
「自分の老後資金は自分で用意する」という意識
共働きである今だからこそ、自分の将来の生活資金を計画的に用意していくことが求められます。
制度改正で遺族年金の支給が制限される可能性があるからこそ、自分の老後に備えておく姿勢が大切です。
夫婦で老後や万が一について話し合う
話しづらいテーマではありますが、お互いに安心して生活を送るためには、老後やもしものときの対応について夫婦で共有しておくことが重要です。
子なし主婦が相談できる窓口やサポート機関
将来への不安をひとりで抱え込まず、頼れる相談先を知っておくことはとても心強いものです。
お金のこと、介護のこと、制度のことなど、生活にまつわるさまざまな悩みを相談できる場所を調べてみました。
年金事務所
まずは年金事務所。自分の年金記録や受給見込み額の確認、年金分割の手続きなどについて、専門の職員が相談に乗ってくれます。
ねんきんネットの操作方法についても案内してもらえます。
地域包括支援センター
介護や医療、生活全般の悩みをワンストップで相談できる窓口です。
先程もお伝えしましたが、自分が住んでいる自治体に必ず一つは設置されており、身近な相談窓口として利用できます。使える制度が具体的にわかります。
自治体の生活相談窓口
住んでいる市区町村の役所にある相談窓口では、生活費、住まい、就労などについて幅広く相談ができます。必要に応じて、支援制度の案内や各種申請のサポートを受けられます。
社会福祉協議会
生活に困ったときの一時的な貸付や、見守りサービスなどを提供している地域の福祉団体です。
高齢者の生活支援に力を入れているところが多く、今後の暮らしについて具体的な助言が受けられることもあります。
ファイナンシャルプランナーや女性向け相談サービス
お金のことを専門的に相談したいときは、ファイナンシャルプランナーの活用もおすすめです。
最近では女性専用のマネー相談窓口や、女性FPによる無料相談、自治体主催のセミナーも増えています。家計の見直しから保険、年金、老後資金まで、気軽に相談できる体制が整ってきています。
【まとめ】遺族年金子なし主婦が制度改正に備えるためのポイント
この記事のまとめです。
- 遺族基礎年金は子どもがいないと原則支給されない
- 子がいない配偶者でも遺族厚生年金は受け取れる場合がある
- 2025年以降、遺族厚生年金の支給が最長5年に限定される可能性がある
- 中高齢寡婦加算は2025年の改正で段階的廃止予定となっている
- 制度改正により老齢年金の受給まで収入が途絶えるリスクがある
- 死亡時分割制度はあるが、加算額は少額にとどまるケースが多い
- 制度は世帯単位から個人単位へと見直される流れにある
- 制度の変化と実際の生活実態にはギャップが生じている
- 自分名義の貯蓄や収入源を確保することが今後さらに重要になる
- 医療・介護費への備えや公的制度の理解も必要となる
- 自分の年金見込み額をねんきんネットなどで早めに確認しておく
- 保険の見直しや不要な保障の整理で支出を最適化する
- 年金事務所や地域包括支援センターなどの相談窓口を活用する
- 共働きでも一方の収入に依存しすぎない家計管理が大切
- 制度の支援対象から外れたとしても、他の選択肢を持っておくことが安心につながる
この記事、お役に立てたら嬉しいです。
今後法案が可決し、新情報が出てきた際にはこちらの記事を修正・追記する予定です。
ありがとうございました。
この記事は厚生労働省「遺族年金制度等の見直しについて②」と「年金制度改正法案を国会に提出しました」を参考にしています。
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